曇り?晴れ?

 梅雨特有の煮え切らない天気です。あうあう。
 仕事の方もまったりしてしまって、あうあう。
 まったりついでにグインの最新刊を読んでしまいました。

サイロンの光と影―グイン・サーガ〈121〉 (ハヤカワ文庫JA)

サイロンの光と影―グイン・サーガ〈121〉 (ハヤカワ文庫JA)

 想像通りの展開だったなー。自分は、自分で格好いいとか、がんばれーっと応援したくなる人間を書くことが好きなので、このシルヴィアちゃんのようなダメダメなキャラは書けません。いや、書く必要があれば書くかも知れないけど、やっぱり好きになれないな。
 先日、ROの合間に再読したのが『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前・以後』だけに、何だかなーとか思う。
ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

 歴史上カエサルほど才能があって愉快な人間も少ないと思います。結末は暗殺されるという結果に終わりましたがカエサルのせいというよりも暗殺した人間たちのせいって感じですね。
 よく言われているのがカエサルは女にモテて、しかも女から色恋で恨まれた事がなかったということ。実在の人物でここまで完全無欠に見える人はいません。
 グイン・サーガのグインも物語の中ではジョーカーのような役割を果たします。オールマイティな切り札。異邦人どころか異次元の存在って感じ。しかし女性問題だけは・・・ウブな少年のようです。それが魅力なのかも知れないけど、最新刊で起こった事件、もしもカエサルにかかったらシルヴィアちゃんは離婚、隠棲生活を送ってもらい、二度と公式な立場に立たないよう継承権そのものも奪うでしょうね。しかし表沙汰にならなければ好きな男といくらいちゃいちゃしてもよろしいとか、結婚してもいいと言いそう。そして折々を見てシルヴィアの好みそうなプレゼントを届けたり、可能ならば自分が届けに行ったりして優しい言葉をかけるのではないかな。もちろん、その手続きをするまえにケイロニア皇帝と養子縁組はしてしまうでしょうが。
 『クラウディウス事件』というカエサルが留守中に若い貴族がカエサルの妻に懸想して忍び込んだ事件がありました。反対派や野次馬たちは密通事件だと騒ぎますが、カエサルはなかった事にしてしまう。けど、妻とは離婚する。反対派が何故だ、やはり密通はあったんじゃないのか、そう疑っているのだろう、と問い詰めるとカエサルは冷静に「密通はなかった。しかしカエサルの妻たる者、疑われる事も許されない」と言ったそうです。それで反対派も沈黙してしまったとか。
 「世界の支配者たるローマ人には、その上に妻という支配者がいる」と大カトーがユーモラスに言ったほどローマ貴族には恐妻家が多かったらしいので、カエサルの言葉は日ごろ妻にここまで強気に言えたら・・・という貴族たちの共感を得てそのスキャンダルは終わったようです。しかし、その後妻がカエサルを恨んだという話はないので、カエサルはちゃんとアフターケアを怠らなかったのでしょうね。
 このエピソードを思い出しながらグイン最新刊を読むと、上記のような事を考えたりします。
 でも、グインはカエサルじゃないから、泥沼になる予感ありあり・・・。まぁ世界史の中でユリウス・カエサルに匹敵する人物は今のところ見当たらないので仕方ないか。想像の世界が実際の世界にかなわないという例なのかも?