雨だす

 花粉の飛散が少ないらしいですが、鼻水はデルーでありますよ。やっぱりこれは花粉症ではなくて風邪系?ちよっと肌寒いけど暖房をかけるほどではないと我慢しているのが裏目?まぁこの季節はいつものことですヨ。
 近世〜近代の日本が経験してきた戦争についての本を読み終えました。とはいっても今回読んだのは、戊辰戦争日中戦争アジア・太平洋戦争の事なのですが。
 まず印象。日本軍って前近代の軍隊って感じですな。現場レベルの、補給軽視、人命軽視もさる事ながら、戦前までの日本という国家に致命的な欠陥があったのではないかと思うほどに、日本では『十五年戦争』とひとくくりされる昭和の戦争では戦略、政略勝利目的がない。もしくは設定が甘い。
 満洲事変における関東軍の暴走を押し留めるでなく、軍が上海事変を引き起こして勝ってしまったがタメに政府が悪ノリして「蒋介石とは交渉しない」と宣言したり、傀儡満洲国をつくって更に華北を分割しようとしたり、一応陸軍は対ロ、対ソ防衛を戦略目的にしているようなんですけど、しかしそこまで占領域を広げて、ちゃんと支配できるのか?という事はまったく考えていないみたいです。補給軽視の為に現場の現地調達を許して軍規が緩んでしまい、どうみたって火付け強盗団に日本軍は成り下がってしまう。そうでないと戦線の兵士たちは食えないのだもの。
 慰安婦の問題でもずれてる。性病をうつされるのは問題だ、とか、兵士の士気を保つため、とか言っているけど、何故士気が低下しているのか、とかはあんまり深刻に考えていないみたい。とりあえず女のトラブルを起こされたら困るから、女あてがっておけという短絡な発想。そして徴発した女性を人間とは見ていない態度。ならずものと変わらない。
 海軍も、仮想敵国アメリカはいいのだけれど、主力艦隊撃滅にこだわりすぎて、防衛線を前に出しすぎて補給が厳しくなりジリ貧になっていくという結末。戦争資源を確保する為に東南アジアに進出した筈なのに、輸送船団の護衛をおろそかにして民需をまかなう事さえできなくなってしまう。
 国力が圧倒的に劣る日本がアメリカ相手に四年もよく戦った・・・なんて主張もあるけど内実は違います。アメリカの戦争準備が二年ほどかかったという方が正しいかも。もっとも空母の生産スピードはあまりにも速すぎるので、開戦前から準備していたとは思いますが。小国は持てる力をいかに効率よく使って戦うか、ということを考えなければならないのに、日本軍は呆れるぐらい自分たちの力を浪費しています。勝利条件の未設定(つまり交戦相手との交渉ができない)、陸軍と海軍の作戦が股裂き状態で、効率的な部隊運営ができていない。兵士を消耗品と見て見通しの甘い作戦を立てる。兵器も攻撃一辺倒で、例えば貴重な熟練パイロットさえ使い捨てにしている状態。補給を軽視し前線の兵士は敵よりもまず飢えと戦わなければならない。輸送船団が丸裸で前線に向かう兵士の大半が、船を撃沈され水死する。
 ね?浪費以外の何者でもないでしょ。
 明治憲法下では、内閣というものは天皇に提案し採決をもらうという権限しかなく、内閣総理大臣も他の国務大臣に対して優位にあるわけではない。とはいえ天皇に特別な政策検討集団がついている訳でもないので、天皇専制する事はできない。政治家たちを説得するにたる情報を天皇自身が手にしていないから、主導権を握れない。
 明治時代は超法規的な「元老」たちが天皇を補佐し、1920年代は政党政治家がその役を担ったらしいけれども、元老が死に絶え、政党政治が崩壊した後、政治の主導権を握ったのは官僚出身者。ということは政治的判断力が乏しい、目先の問題を処理する能力には長けていても、大局的判断を下す訓練をしていない人たちが天皇を補佐する事になったわけで、まぁ長期的政略を練るなど思いもよらない訳ですな。
 しかし、アメリカに戦争を吹っかけた理由が、日本の実力を認めさせ戦意を喪失させる・・・って、どういう理屈なんだろう?
 今の日本が極度の軍事アレルギーを持っているのは、この、戦前の日本の軍隊があまりにも『酷い』というイメージがあるからなのでしょうね。確かに、これは酷いわ。負けて当然だ。・・・というか高級官僚(日本の軍人は、軍官僚です。学閥しっかりあるし、大学校の優等生が昇進でひいきされるし、どこぞのキャリアと同じですって、根っこは同じか)というものは、やはり税金を食い物にする事しか考えていないのか?とも思えるなぁ。