今朝は冷たい雨デス

 むー。刺繍いれしなきゃならない商品を受け取りにいかなきゃならないのだけど、雨の中、自転車で出かけたら商品も濡れるからイヤだな。ちょろりとでいいからあがってくれないかしらん。
 実は三連休中の電車移動で図書館から借りてきた新書二冊読み終えていました。今気づくなよ、おい。
 一つ目は『トリマルキオの饗宴』。著者の青柳正規という方は、なんとなーくヨーロッパの屈折したローマ観をそのまま受け入れているよーな気配の人で、このトリマルキオの饗宴の舞台、時代が帝政ローマのネロの時代、つまりローマがもっとも安定していた時代と言われていまして、そのあたりの時代背景を少し現代人の視点よりに解説していたり・・・いや、オイラが塩野七生さんの『ローマ人の物語』に毒されているせいなのか?
 でも当時の風俗が面白いです。宴会の様子とか、大金持ちの馬鹿馬鹿しい面とか。まぁ創作なので誇張されている物語ですけど。

 もう一つは『孝明天皇と「一会桑」』。主題としては徳川幕府と西南雄藩の他に、京の尊王佐幕攘夷派として孝明天皇とその代弁者たる一橋慶喜会津松平容保、桑名の松平定敬の政治グループがあり、一時期はその三つ巴状態。そして薩長の倒幕も一橋慶喜が将軍になり、この人が、まぁ根回しせずにいきなり大事な事を発表して人々に混乱を与え、反感をもたれるという人だったので、というかそういう事をやらかして薩長の反感をかってから走り出したという事らしいです。
 薩長同盟は倒幕目的ではなく、長州が孝明天皇や幕府から攻撃、非難されている政局で、薩摩が長州を援護するという性格のものだったようです。そして鳥羽伏見の戦いまで、実は徳川幕府が崩壊する予兆はなく、大阪に駐屯していた幕府勢がただの上洛と思って京に移動したところを薩摩軍に強襲されて大敗を喫したところで大勢が決まったという・・・なかなか綱渡りな状況だったみたいです。必ずしも解りやすい歴史劇ではないし、大久保利通はともかく西郷隆盛も皆が思うほど単純な人ではない。当たり前だけど。
 どうも皆司馬遼太郎さんの作品を『史実』と思い込んでいる節が強いですね。後は薩長明治政府の『勝てば官軍。都合がいい記録だけ残しちゃえ』みたいなところにどっぷりつかっているみたいな。・・・だから幕末って好きになれなかったのかなー。最近まで読もうと思わなかったですよ。
 どうでもいいけど、小説はファンタジーですぜ。作者の世界が描かれているだけで、歴史小説だとしても史実は素材に過ぎず、物語は作者から湧き出たファンタジーなんですよ。だから小説というものは全てファンタジーだと、最近私は理解しています。
幕末・維新の新視点 孝明天皇と「一会桑」 (文春新書)

幕末・維新の新視点 孝明天皇と「一会桑」 (文春新書)

 最近は、こういう研究成果が一般読者の手の届くところまでやってきているから、いいなぁ。