清々しい月曜日ですネ。

 昨夜は早めに寝た、眠りについた、無理矢理寝た、ので何とかいつもの時間に起きる事ができました。
 内田百輭さんの『ノラや』読み終えました。
 この方は夏目漱石門下として余裕派と見られているそうです。確かに、書かれた作品は客観的であり、しかし訳の解らぬ不思議さや不気味さに満ちていて、何となく不条理小説な面があり、ちょいととっつきにくいところがあるように思えます。
 随筆は、本当にあったことなのか小説なのかの境界が曖昧で、でも滑稽な感じがして、私はこちらの文章が好きなのですが猫に関わる随筆になるとガラりと変わりました。
 全部が全部赤裸々なんです。愛猫たちを失った寂寞を晩年何時までもひきづって、折に触れては在りし日の猫達の姿を追い涙を流しているんですね。一人になるとダメな時期があって、トイレに籠もって大声で泣き出したというのですから、情緒不安定な老人といった感じ。
 これを名作と感じる人々は、他の作品での自分の感情を押さえた、あるいは自分の感情すらも客観的に描き出す内田さんの冷徹さが消え失せ、ただただ愛する猫を失った人の悲しみが整理される事なく書かれているから、そう感じるのではないかと思います。読みやすいし。
 日記の抜粋を乗せる事で、ノラを失ってからのこと、二匹目のクルツ、クルが日々衰えていく様が読んでいるものにも徐々に徐々に浸透していきます。内田さんにしてみれば他に書きようがなかったのでしょう。それがいい味になっている。
 何だか珍しいジャンルに感心してしまったなぁ。