少し気になったこと

 火曜日の飲み会で『君の為に僕は死ぬ』だったかな?そういう題名の特攻隊員の映画を見て感動したとか何とか言っていた人がいて、背筋が寒くなりました。
 特攻って美しいものだろうか?昔、故西村晃さんが話していたのを思い出します。あの方は死ななかった特攻隊員で、終戦が早まったから生き残った方、だったと思います。
 皆ギラギラと殺気立っていて逍遙とした気分ではなかったそうです。話によるとヒロポンでハイにさせて特攻させるというのもあったようです。
 特攻を描くならそういうところもキチンと描いて欲しいとか思ったりする。あれは武器が尽きた軍部が、それでも戦っているというスタイルを見せ付ける為の生贄であり、はっきりいえば軍人の無能を見せ付けた事例です。
 本来空戦、空爆をする為に使うはずの高価な戦闘機を、ただ一回の体当たりの為に飛ばすなんて資源の浪費です。そしてパイロット養成だって一朝一夕にはできない。ましてや一人の人間が成長して大人になるまで、どれほどの手間隙がかけられているのか。
 どうも日本人はファンタジーが昔から好きで、本来そんな姿である筈がない武士道を信じ、第二次大戦中の将兵はそんな軍記物語の武士たちを演じているようにさえ見えるのです。安倍さんの『美しい日本』とやらも、そんなファンタジーの世界ではないかしらん。
 だから『美しい日本』に対しては拒絶反応を起こしてしまうのです。特攻を美化する人たちの精神が見えるようでね。
 特攻で死んでいった人たちの大部分は、本音では「どうして自分がこんな目に合わなきゃならないんだろう」って思っていたんじゃないかな。自分が犠牲になる事で、日本が占領される日が一日でも遅らせる事ができると思っていた人もいたでしょうけどネ。