はっきりしない天気でした

 雨が降るなら、どばっと降って欲しいですネ。
 ムッソリーニの本は第二次大戦末期まで読みました。というかイタリアは1943年に降伏してしまうのですが、たしか。
 イタリアのファシズムというものは排他的なナチズムとはやや異なるものという印象を受けました。どうにかするとバラバラになってしまう傾向が強いイタリアという国で、何とかして一致団結、挙国一致を実現して、他の列強に対抗して『大国』になろう。というものが趣旨のような気がします。十九世紀まで小国分裂と他国の植民地状態であったイタリアが、言語を別にして国としての一体感を得るのは並大抵の事ではなく、ムッソリーニ自身も初期の成功はともかく、ドイツに引きづられるように参戦した第二次大戦以降は準備不足と軍部のサボタージュでいいところがなく、また失脚した後も人気の高いムッソリーニを担ぎ上げたドイツの支援する『北』と連合国軍に降伏してその支配下にある『南』、そして『北』をかく乱するパルチザンとなった人々というように降伏してもイタリアにおける戦火は収まりませんでした。
 意外だったのは政権奪取が早かったムッソリーニヒトラーが尊敬し、その政治手法に『師事』していたと言っている事です。確かに、硬直した思想の持ち主で非ゲルマン系に対する冷酷な虐殺を命じたヒトラーよりも、現実に対応して様々な妥協点をさぐり、時間の経過とともに落としどころを探り当てるムッソリーニの政治手腕はなかなか面白いです。
 ただし、不幸なのはイタリアという国の官僚たちがスペイン内戦までの成功に安穏としてしまって、その先に対応できなかったこと、ではないかと思ったりします。開戦当初の戦力は決して悪いものではなく、戦闘機に限ればドイツよりも多く保有しており、海軍も地中海作戦ならば十分イギリス、フランスに対抗できたはずなのです。
 ・・・まぁ、将軍クラスの人間がムッソリーニの「戦場で戦った事があるかね?」という質問に「ないです」って答えているのは問題かも。ちなみにムッソリーニ第一次大戦の時に一兵卒から軍曹まで出世したそうです。ヒトラーに比べると彼は個人的魅力に溢れる人のようですネ。乱暴者らしいけどさ。