雨・雨・雨・・・

　鬱陶しいですね。鬱陶しいですよ。寒いですね。寒いですよ。
　それはさておき、今『乃木希典』って人の評伝を読んでいます。『明治の軍神』ですな。ただ戦術、戦略論ではなく世論の話が中心で、『乃木文学』と称され『神』に祭り上げられている事柄の検証とか事実確認とかがメインです。
　昔の人全般にいえるけど、端から見ている分には面白いが、実際に接するとたまらん人柄のようですな。『ジキルとハイド』のように冷徹な軍人と好々爺に変わる事ができ、戦場で死ぬ事を望み、『諸君の子弟を殺したのは予なり』といい、正体を隠して皆が驚く様を喜び・・・まぁ、どっかの誰かを見るようですわ。
　ただ昔の人の写真で、こうまでいい笑顔で写っている人はいないだろう、と思えるほど、ちょっといい笑顔です。この人は明治天皇に殉死したのですが、死に対する考え方、軍人としてのこだわり、そういうものが現代人とはまるで違い、その辺りの違和感が興味深いです。
　しかし、そんな『乃木さん』で商売のネタを作り出すあたりなんざ、今とかわらねー。
　乃木愚将論というのが司馬遼太郎のおかげで一時期流行ったみたいで、自分が十代の頃はそんな意見が多かったのですが、今は検証の結果、誰が指揮をとっても日露戦争の時の旅順攻略はああならざるえないだろう、というのが通説だそうです。自分はそのあたりちゃんと読んでいないので良く解らないのですが、当時は世界的に見ても乃木さんと海軍の東郷平八郎は『アイドル』だったようです。
　まぁ、この人が割腹殉死をやらかしたおかげで、『ニッポン、ハラキリ、ＨＡＨＡＨＡ！』みたいなイメージになったのかも知れませんがね。