今日も寒々冬冬ですわいの。

 とか言いながら、話題は読んだ本の事。またかいな。
 『西大后』という中公新書の本を読みました。清朝最後の大物って奴ですね。なかなか強かなばーさんです。そしてその権力の握り方も、いかにも中国でした。
 中国人の国家意識というものは、筆者によるとこの頃から発生しているらしいです。中国人のいう愛国的精神の発露とやら、反日愛国という大義名分は日清戦争でよもやの敗退を喫したからであるらしいです。原因は西大后のおばはんにあるけど、それがいい事なのか、悪いことなのか。少なくとも愛国的中国人にとっては悪い事なんだろう。しかし彼女のこさえた宮殿あとが内外の観光客を集め、多くの人の飯のタネになっているのに、軍艦は沈んでしまった事を思うと、結果的にはおばはんの贅沢の方に軍配が上がるのか?
 中国人の日本人に対する感情と言うのは、今まで見下してきた東の蛮族に、ヨーロッパ列強ともいい勝負をした『大清帝国』が大負けした!そして損害賠償と領土割譲を強いられた!というのが屈辱的に影響しているんだそうです。
 だからロシアに割譲した『沿海州』は不問に付して、日本の『尖閣諸島』との問題は強硬論を展開しているらしい。すごく悔しかったようだ。
 本の筆者によると清が日本に負けたのは、近代化の手法の違いであるらしいです。とりあえず技術はよそさまから引っ張ってくるけど、自分のものにはしない、という清と、とにかく時間がかかっても自力でやるんじゃあ!という日本の違い。開発独裁のハードとソフトの違いで、未だにアジア諸国開発独裁のハードをやっている・・・とも書いていた。
 何にせよ、文明としては古くても国家アイデンティテーは若い、百年足らずの中国が、千年近く一つの『国』意識のあった日本に負けたという事もあって、なかなか愛国的中国人の方たちはエネルギッシュに主張されるわけですな。