はなしっぱなし

 最近ちょろちょろ大人買いを試みている五十嵐大介さんの初期短編連作です。

はなしっぱなし 上

はなしっぱなし 上

 どこかで『蟲師』の著者の方が影響を受けた、ぐらいの知識で読んだのですが、確かにそうですね。ぼおっと景色を眺めていると、こーんなことや、あーんなことを妄想する気持ちはアタクシにもありまして、それをスケッチ的に、やや苦味をあからさまに投入して表現しているって感じがあります。
 次に読む予定の『リトル・フォレスト』は実際に著者が住んでみえる(現在も住んでみえるかは不明)東北の衣川周辺での生活みたいです・・・先日の猫の話もそんな感じですね。たぶん農業しながら描いてみえる・・・とは思う。
 自分は生まれも育ちも都会の人間で(名古屋はでっかい田舎と言われるが、住んでいる人の気質がそうなのであって、実際は自然のしの字も見えない)、農作業なんて、これっぽっちもした事がない人間ですが、農業というのは人間の基本的な職業の一つであり、とにかく土地さえあれば生きていける、っていう認識がありますが、地に足がついて生きている訳ではないのです。
 たぶん自然や田舎(農作業で食べられる環境のこと)というものに対して憧憬と恐れを持っており、それを想像させるもの、妄想を膨らませていく事が好きなのですね。
 五十嵐大介さんの作品は、現在連載中の漫画の、お試し本をジュンク堂で読んだ事がきっかけで集めようと決意しまして、それも生物に手を加えデザインして最強の生物をつくっていく・・・みたいな話なのかな。本当に触りの部分しかなかったのでアレなのですけれど、そういったところは『はなしっぱなし』にも潜んでいますね。
 でも90年代のアフタヌーンは、確かに挑戦的だったなぁ。たぶんあの頃のアフタヌーン作品を読まなかったら、自分、今もマンガを読んでいたかどうか、怪しいもんなぁ・・・懐かしさを感じてしまいましたよ。