これは読んでいなかったか

 ま、とりあえず旬なものから。

 自分、堕落王フェムト、大好きなんですよ。自分の欲望だけに正直な、お騒がせ男が。それに比べれば今回登場したヴィラン?名前も覚えていないわ。自分がやっている事を正当化しようとする悪党ほど小物に見えてしまう人間なので、「世界滅亡?何十回も考案して飽きた」というフェムトの方が、やっぱり好きなんですよ。うひひひ・・・まぁ、逃亡した時に「尻もちはなかったな。帰ったら練習しよう」とか思っているところは、ちょっといいな、と思いましたがね。
 んで、六年前に出版されたもの。
武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望―天正壬午の乱から小田原合戦まで

武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望―天正壬午の乱から小田原合戦まで

 題名、長い。もうちょっとどうにかならなかったのか?とか思いましたが、まぁ仕方ない。
 学術用語として定着したのか、滅亡した武田家の遺領を管理していた織田家家臣たちが、本能寺の変後撤収してしまい、その空白をめぐって上杉、北条、徳川が争奪戦を繰り広げる『天正壬午の乱』。その最終的な決着は北条氏の滅亡まで引っ張られるというから、なんともはや。
 この本で解るのは、徳川家康があくまで織田政権の枠内で自領拡張の正統性を得ようとしていたこと。秀吉との対決でも織田家家督織田信雄の同盟者(信長存命中は配下大名扱いであったので、相対的地位は上昇している)として参加しており、織田政権から離れるのは、信雄が織田家中から見放され、事実上他の家臣団が秀吉を盟主、ついで主君と見なした瞬間、政権が崩壊した頃であること。
 権力主体である武田家が滅亡してしまった甲斐はともかく、国人領主が健在な信濃は、その勢力拡張に周辺の大大名の思惑も絡んで複雑化したこと。それに大大名たちの場当たり的な対応が拍車をかけたこと。
 徳川・北条同盟の明暗は、秀吉政権の必要性からくるもので、徳川と同じ待遇を要求した北条氏は、秀吉にとって自らの価値が相対的に低下した事に気づいていなかったこと、ですかね。
 やっぱ早めに仲間にならないと信用されない。しかし降伏する側も相手を信用できるかどうか、によって変わりますからね。