読み終えたなり

 はい。二冊読み終えました。といっても一冊は流し読みに近いですが。

 端的に言うとコンプレックスに押しつぶされそうな青年期。豊臣政権に従って専制権を手に入れようとし、関ケ原の合戦で決断力不足を露呈して失墜した壮年期。
 その後、徳川側に降伏し、失われた自らの権威、後継者への地盤固めに冷酷に家臣を殺したり追放したりし、ついに幕末まで生き延びる長州藩の基礎を築いた男、という事になります。
 ちなみに長州藩の藩祖は彼の息子、秀就であり(これもドラ息子らしい)、輝元はその父親みたいな扱いで、たぶん関ケ原の合戦の西軍総大将であった事が徳川時代は憚られたのでしょうね。
 いわれるほど無能という訳ではありません。本当に無能なら関ケ原戦後にお家騒動を理由に潰されていたでしょう。それを生き延びたという事は、組織者としての手腕はあったと思われます。しかし戦国武将として輝くために必要な、山師的な勝負勘はないようです。関ケ原の合戦で本戦においての、西軍総大将でありながらの日和見は、なーんか戦いを他人事のように見ているところがあって頼りない。
 家康の勝負勘に比べてはなはだ劣ると言わざるを得ません。まぁ戦国ゲームでは政治、知略あたりの能力値が70代で統率、武力は50代ってな感じがいいのかなぁ。
 そんな感じですね。
滅びの鐘

滅びの鐘

 実を言うと読むのが大変でした。飛ばし読みで何とか最後までいけたというか、途中がつらい。展開がつらいのです。爽快な部分が少ないから。たぶんテーマが重いからですね。二つの民族の争い。それが血で血を洗う闘争ならばまだしも、片方が片方を一方的に虐待していく展開がつらい。
 落としどころもいいし、物語としては面白かったですけど、というよりも、もうちょっと早くヒロインを出した方が良かったのではないかと思ったりしたり。
 なんか辛いこと書いていますが、いや、マジでこれは考え込んだり、ストレートに受け取ったからであって、そう思わせる力がこのお話にはあるのですよ。はい。