ペロポネソス戦争

 日本人にはあんまり馴染みのない歴史に古代ギリシア世界の凋落を結果的に決定づけたのが、この、ペロポネソス戦争でした。それが知りたくて借りた本です。

ペロポネソス戦争

ペロポネソス戦争

 わぁ・・・アマゾンの和書で『ペロポネソス戦争』を検索したら、日本語で書かれた論文が出てこない。この本以外は全部トゥキュディデスの『歴史』しかない・・・ひぇ・・・いかに関心がもたれていないか解りますね。
 まぁこの本も読本の域から出ていませんが。
 ペロポネソス戦争というのはアタクシの理解では、ペルシア戦争でアケメネス朝ペルシアの侵略をアテナイ主導のデロス同盟で乗り切ったギリシアのポリス諸国が、鼻高々になりデロス同盟を自らの植民地扱いし、吸い上げた上納金で軍備を拡大し、ギリシアの覇権国面し始めたアテナイへの反発に、陸軍大国ラケダイモン(スパルタ)とその同盟であるペロポネソス同盟がふっかけた戦い、って感じです。もちろんアテナイも「やるんか、われ!!」って感じで自らの地位が力によるものと弁えているので、戦争を開始します。
 これがね、長い。延々二十七年もの間、途中に休戦を挟みつつ結果的にアテナイの強気が平和条約の締結を逃し、アテナイが力を弱めて和睦しようと呼びかけた時にはラケタイモン側が知らんがな、といい、ついにはアテナイの敗北で決着します。といってもラケダイモンは軍事大国であっても経済的には貧窮している国でして、ペルシアからの財政援助で艦隊を編成できた、その艦隊でアテナイ制海権を破る事ができたのですが。
 つまり戦争が終わった後、アテナイはもちろんスパルタもギリシア覇権を握り続ける事ができなかったのです。一時期テバイが軍事的に優位に立ちますが、軍事主導者があいついで戦死すると急速に弱体。そして、結果的にその軍事的ノウハウを吸収していたフィリッポス二世支配のマケドニア王国が台頭し、ギリシアに覇権を唱え、フィリッポス二世が暗殺されても、その子アレキサンドロス三世によって打倒ペルシアがなされてヘレニズム世界が現出するという。あ、アレキサンドロス三世がいわゆるアレキサンダー大王です。はい。
 んでちゃんと理解したいなぁ、と読んだのですが・・・ええっと読本です。戦争参加の各ポリスのその時の状況を解りやすく書かれています。でも、ちょっと全体の流れをつかみにくい構造かな?まぁペロポネソス戦争自体が良く解らん内ゲバみたいなものなので、入門書というべきなんでしょうね。
 これは塩野さんの『ギリシア人の物語』に期待かしらん・・・