怒涛のごとく読み終えた

 その中の二つほど書いてみようかと。

 『真夏の夜の夢(まなつのよのゆめ)』で覚えていました。まあ訳する人によって変わるよね、題名なんて。
 名古屋ではあんまりシェイクスピア劇は演らない・・・自分がチェックしていないというか、観劇から遠ざかって久しいので愛知県芸術文化なんちゃらでは演っているのかもしれませんが、見た事はありませんでした。大昔、NHK教育で放映していたBBCだか何だかイギリスのTV会社の撮った『ヘンリー六世』第三幕を見たぐらいかな?
 前に『ヘンリー六世』のシナリオを読んだ時にも思ったのですが、脚本をみるかぎりシェイクスピアはお堅くないです。むしろ史劇にも言葉遊びをふんだんに、日本人的には駄洒落をふんだんに入れたもので悪ふざけにすぎると思えるところもちらほら。悲劇だろうと途中の演出を喜劇にしないとお客さんが退屈してしまうから、こういう風にしているのでしょう。さすがに流行作家ですネ。
 自分の感想は、『夏の夜の夢』はなーんか尻つぼみな印象。それよりも初期の作品と言われる『間違いの喜劇』の方が一貫していて面白いです。日本では滅多に演じられないのが残念な感じ。吉本新喜劇でかけてもいいくらいのばかばかしさ。まぁ双子の男優を二組ひっぱってこないとダメかな?ダブルキャストで演じるのが定番らしいですがネ。
 名古屋にもシェイクスピアを常時かけるところがあると面白いのに、とか思ったりして。ムリだけど。
ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)

ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)

 図書館の文庫棚に並んでいるのを、ふらふらと手にとってしまいました。SFなんですが未来の小道具と不可解な異種属が出てこないと南米が舞台のホラーかサスペンスか、と思うような作品。ル=グウィンの『闇の左手』を意識した、とか三人の著作者の一人が言っている通り、ページ数の割には登場人物は少なく内省的は部分もあったりしたり。
 主人公はメキシコの貧困層出身の男。少年時代に鉱夫になり、高齢の鉱山技師に誘われて他星系に向かったのはいいけれど、技師は途中で癌で死亡。開発許可をもらっていたのは技師だけだったので主人公は途中下車で南米系移民の多い植民星にほっぽり出されて、そのせいか中途半端な人生を送っている。都会では精神不安定な愛人の紐の、酔っ払いの喧嘩っぱやい男。しかし郊外、自然の中に鉱脈を探しに行くときはアルコールを一滴もやらず、大自然の恵みと脅威を一身に受けて戦う・・・その彼が鉱脈かな?と思い発破をかけたところが実は・・・という話。
 地球人類が宇宙では新参の辺境民で、姿形、生活様式、生態系何もかもが異なる先進宇宙異種属にいいようにあしらわれているのが、欧米系のSFとしては珍しいかなぁと思ったり。
 しかし、完成するまでに二十年ぐらい、関わった人間は三人。最初のアイディアを出した著者が千ページぐらい書いて挫折、しばらくして二人目とのリレー小説形式で書き続けるも、これも二万ページぐらいで挫折。どっちも最初のアイディアを出した人が挫折している・・・んで、数年後、若手の作家を巻き込み、彼が再構成して完成させたものを手直しして(若手作家は容赦なく文章の『仕分け』をしたらしいので、後で最初の作者が文章を復活させたりしているらしい)ようやく完成。
 ・・・こういう創作形式って、小説では、日本ではあんまりないですよね?
 ラストもちょっと予想外で、読んだ後、結構幸せな気持ちになったりして、なかなかいい作品でした。
 そこに至るまでの話を聞くとなんだかなぁと思うけど、完成された作品を読むと、終わりよければ全てよし、なのかなぁ・・・と。
 アメリカ人、面白いなぁ。