涼しい・・・いや寒い?

 今朝は大変冷え込みました。最低気温16℃。今まで高温になれていたから冷え込んだと思うけど、人にとっては過ごしやすい季節になってきたという事ですよネ。
 台風の被害が明らかになり紀伊半島の山間部で酷い事になっているようです。『大誘拐』の舞台が酷い事になっている・・・いかん、読みたくなってしまう!!今はダルタニヤン物語がメインのはず・・・とか言いながら同時進行で読んでました。

ローマ人の物語 (41) ローマ世界の終焉(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (41) ローマ世界の終焉(上) (新潮文庫)

 長い長い物語の終末です。図書館でハードカバー版は読んでいましたが。『偉大なローマ人』たちが徐々に本来の姿を失っていき、共同体意識が希薄になり、キリスト教の価値観がローママンスピリットを蝕んでいく・・・歴史家に『最後のローマ人』と呼ばれるスティリコが、父親がヴァンダル族、母親がローマ人というのも象徴的な事かも知れません。そして彼の死も血統的なローマ人たちの嫉妬と疑念からで、この頃のローマ人たちは自分たちで自分たちを傷つけている印象すらあります。
 最終的にイタリア半島を『破壊』したのは消滅した西ローマ帝国の後、合計五十年間支配していた蛮族のオドアケルや、彼を殺してその王国を奪った東ゴート族の王テオドリックたちではなく、『ローマ帝国の旧復』を掲げたビザンツ帝国の皇帝ユスティアヌスが引き起こしたゴート戦役で、戦力の逐次投入で戦争を長引かせ、荒廃した地域に重税を課し、徹底的にその生活基盤を破壊したからでした。
 あげくにビザンツ帝国自体も多額の戦費に国庫が空っぽになり、イスラムの攻勢やスラブ人の南下に対処できずに『ギリシア王国』としかいえない存在にまで縮小します。それはもはや『ローマ帝国』ではない。
 スティリコのくだりを読んでいるとどうしようもない腹立ちと悲しみが沸いてきます。しかしその後の人々の動きを見ていると、本当にマルクス史観なんて机上の空論だよなー・・・資本論は読んでいないけど。
 時間の経過は=進化ではない。人間は行きつ戻りつ生きているんだ。そんな事を実感させられました。
 これを読むとローマとかローマ時代の遺跡がばっちり残っているところに行ってみたくなりますなぁ。中世の人たちが『悪魔の橋』と呼んだ水道橋とか見たくなるですよ。政情不安定なところばかりですがネ。