今朝はすごい土砂降りでした。

 十時前は小康状態です。雨がやんでいたり、いなかったり・・・はっきりしてくれ。
 そして昨日読み終えたもの。

 清新はともかく、残酷で美しい物語でした。うー、サドっぽい。でも悲しくて美しい話ですよ。仮想空間のリゾートで人間が訪れなくなって千年(これは仮想空間内の時間なので、現実の時間がどうなっているかは、一度も文章に出てきていないので判りません)。数値海岸と呼ばれるその架空リゾートの一つ、南欧をイメージした『夏の区界』が舞台。そこのAIたちはゲスト(人間)が訪れなくなっても自分たちの日常を繰り返していた。永遠に終わらない夏を。
 それが突如として襲ってきた厄災の為に平安は破られ、壊滅の危機に。生き残ったAIたちは残された最も堅固な、そして『夏の区界』のエピソードの中心である鉱泉ホテルに立てこもり、必死の抵抗をする・・・だが、それすらも仕組まれた事で、そして仕組んだ方もかつてない危機にさらされていた。彼らは自分たちを破壊する『天使』と呼ばれる異質な物に対する罠とする為、『夏の区界』をそこに住むAIたちの了解もなく利用する事にした。それは『夏の区界』の、ある残酷な特性を利用する為だったから・・・。
 えー、解説というか何というか、こんな感じでいいのかしらん。書きすぎかな。三部作でなくて連作。遅筆の作者が念入りに書いているのでなかなか面白い・・・というか、泣ける。切ない。他の話も読みたい。そう思いました。愛しているから相手の望みをかなえてやりたい。でもかなえたからといって相手が幸せにはならない。それがとても切ないです。救いのない話は読んでいて辛いのですが、けれどもとても美しい話なので気に入りました。
 はぁ・・・。美しくて残酷な物語です。お時間があって、悲しいお話が読める方にはお勧めです。はい。
 続刊が図書館にあるといいなぁ。