お寒うござりやす

 日中が暖かいとか、朝が寒いとか、そんな事の繰り返しだったりしますが、まぁいつもの日常。
 読み終わったものとかネ。

日清戦争 (戦争の日本史19)

日清戦争 (戦争の日本史19)

 今まで日清戦争の日本軍というのは随分ヨーロッパナイズされていて、近代的で、旧式軍隊の清の北洋軍閥を圧倒したと思っていたけど、どうもそうではないらしいです。いや、部分的には殺傷力の強い砲弾とか取り入れていますけど、全体的はどうよ?って感じが強いです。
 まず開戦を強く望んだのは日本であったということ。朝鮮は史的に中国との結びつきが強く、日本の方こそ強く利権を主張しなければならなかったこと。
 敵の兵員輸送を狙い撃ちし、緒戦を有利にした原因を理解しているのかと思いきや、輸送、補給に関しては無知、楽観が支配的で、中国本土に侵攻してからも補給の不備はまったく改善されなかったこと。軍の補給輸送部隊が存在せず、民間の人足に任せきりで軍規も何もあったものではなかったということ。このあたりの所謂『後方支援への理解』は現在の陸上自衛隊をも支配しているらしく、日本の軍隊の補給、後方軽視はまったくもって変わっていないこと。
 装甲艦が主力の北洋艦隊と比べて日本の聨合艦隊は装甲殻を持っていない艦がほとんどで、速射砲の手数で勝利を収めたということ。この頃はまだ装甲艦に関する戦法が確立していなかった事も一因。
 外交根回しを甘く見て、結果的にヨーロッパ列強を利する結果に終わってしまったこと。つまり日本は、それまでは『眠れる巨龍』と理解されていた清王朝が、実は『張子の虎』であることを証明してしまい、その後の第二次大戦にいたるまでのヨーロッパ列強の中国切り取り放題に、結果的に協力してしまったこと。というか、一番血も金も浪費したのに、利益も少なく、しかも中国、朝鮮人の恨みを深く買ってしまった外交の拙さが目立ちます。
 つまり・・・ある意味日本人の五十年ほどの立ち位置を決定付けてしまった戦争なのでした。
 国内的には、対外戦争を通じて『天皇の臣民』として統一された日本人意識を確立する事ができて、これにて明治維新よりの課題だった『日本人』としての自意識を芽生えさせる結果になりました。
 その意味では近代統一国家としての日本を完成させた戦争なのでした。
 って、実は日露戦争よりも重要な戦争だったのではないかしらん?