またまた寒気がくるそーな

 明日は雪が積もらない事を祈ってマス。妹夫婦が福井から来るし、私は昼から自転車に乗ってD&Dやりに出かけるし。
 『ナポレオンとタレイラン』はいよいよ佳境です。ナポレオンは敗れました。敗れて当然って感じですな。独裁者の末路。自分の才能に自信を持ち、自分の運命を信じるのはいい事だけど、過信は禁物ですな。それがナポレオンの人生です。それに、強い立場に立てばこそ弱い者を思いやるというのも大事な事ですね。彼は尊大に過ぎました。あるいはコルシカの小地主出身が抱えるコンプレックスがなせる技でしょうか。
 彼には二回、自分の王朝を残すチャンスがあったようです。一回目は第一執政になった時。この時フランスは危機を乗り越え有利な和平条約をオーストリア、イギリスと結べたようですが、妥結点を探るとナポレオンが『征服』した北イタリアを手放さなくてはならず、他の将軍が征服した土地がフランスの領土になって、自分の名誉が守れないから条件に折り合いがつかなかったと。
 二回目はアウステルリッツの後、ここでオーストリアを追い詰めず、大陸封鎖令で反旗を翻したスペインに深入りせず、イギリスと妥協すれば良かったけれども、フランスの産業を守る為にイギリスと折り合う事ができず、オーストリアを追い詰めて真の同盟関係を結べず、結局ロシアの焦土作戦に破れて虎の子の軍隊を失い敗退します。諸国民戦争では善戦しますが、それが却って各国にナポレオン退位の条件でなければ和平に応じず、という態度を取らせたというのは、皮肉なもんです。
 それにしてもタレイランという男は凄まじい。『会議は踊る。されど進まず』だったかな?とにかく進まない事で有名なウィーン会議で、敗戦国の代表でありながら主導権を握り、フランスの領土を守り賠償金さえ支払わなくてすんだのですから、恐ろしい手腕です。タネをあかせば、その幅広い人脈網と人の話を上手に聞き、それと気づかせずに相手を自分の望む話題に乗せるって言うんですからね。社交好きでないと政治家、外交官にはなれません。あとは信念みたいなものかな?
 タレイランという男は念頭に必ず『まずフランスの為に』があったそうで、いくらリベートをとろうとも、投機が金を稼ぎ私財を投じて贅沢しても、愛人をあっちゃこっちゃにつくっても、大筋でフランスの利益を考えていたそうです。それは勢力均衡によるヨーロッパの平和であり、そうする事によってこそフランスは大国たりえていける。そう信じていたようです。
 結果的にはナポレオンの征服主義は失敗し、タレイランの勢力均衡はイギリスというパートナーを得て第二次大戦までフランスの基本外交になりました。そして第一次大戦までフランスを、ヨーロッパを総力戦争には巻き込ませなかったのです。
 ウィーン会議タレイランがとった手法を今読んでいる最中ですが、なかなか旨いんですよねぇ。やっぱり政治家というのは愛人こさえるのが得意で、しかも愛人に恨まれない手腕を持った男でないと勤まらないのかもしれません。カエサルみたいに。