変な天気なのダ

 曇がちで気温が上がらないのは、いい事ですが、はっきりしないのは性格的にイヤんな感じです。
 今日読み終えたもの。

大貧帳―内田百けん集成〈5〉   ちくま文庫

大貧帳―内田百けん集成〈5〉 ちくま文庫

 内田さんの経済感覚は、どうも酒屋の一人息子として育った部分が大きいようで、あっしのように亡き父方の祖母から「しわい」と言われた人間からすると「ダメじゃん」の一言で終わりです。
 別に呑む打つ買うをするわけではありません。呑むけど一日中毎日飲んでいる訳ではない。ただお金の使い方が尋常ではない。例えるなら地下鉄一区間の道を徒歩や電車でいかずに随時タクシーを使い、支払い時につり銭を要求しない、あるいはできない性分ってとこですかね。
 そして今の闇金融で首が回らなくなった人さながら、あっちの借金を返済する為に、こっちで借金をし、気がついたら元金の何倍も支払っているという、あっしからすると馬鹿な話なんですよ。
 自分が伊丹監督の映画『マルサの女』に出てくるラブホグループの経営者で脱税常習者の、山崎務ふんする社長の言葉が気に入っているせいか、自分の収入を先取りして用を足すという考えがないため、内田さんの悪循環には同情できないんですな。
 ご本人も解っているんだけど、性分は変えられないようです。
 因みに山崎さんの台詞で気に入っているのは、マルサの面々が隠し財産の場所が解らず途方にくれているシーンで、勝ち誇ったように言う場面。
 喉が渇いている時、あんたらはコップの水が半分ぐらいでも飲み干すだろ。でも俺は我慢する。一杯になっても、まだ我慢する。コップから零れ落ちるようになってようやく、その滴をすするんだよ。
 ・・・確かに、お金は使わなきゃたまる一方だもんな。そうだよな。
 そんな風に納得した台詞でした。