『86』読了

 ツイッターでつぶやかれていたので気になって買ってみました。

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

 自分のツイッターでもつぶやいたけど、くそのような国家、くそのような戦争、くそのような戦場、という今の自分の超好みな展開で気に入りました。
 これ、登場人物が美麗な少年少女でなければラノベでなくてもいいよね?どうもハヤカワや創元のSFと何が違うのか良くわからない。十年ほど前、自分は好きなのですが『グランヴァカンス』という美しくも残酷なSF小説が「新しい試みがない」と叩かれていたのですが、SFというのは新しい試みを盛り込まなければいけない文芸ジャンルになってしまったのでしょうかね?
 まぁいいや。
 この小説で一番気に入っているのは、人の『差別する』という負の感情を解りやすく説明しているところですね。ブルーハーツの歌でも『弱いものが、更に弱いものを叩く』とあるように(確か)、差別というのは自分以外の弱い立場のものを攻撃して、自分自身のストレスを発散する行為でして、程度の差こそあれ現代日本にも存在するものです。いじめは差別の始まりかもしれぬと思ったりもしまする。
 人の醜い部分は『甘え』の発露である場合が多く、自分に甘い人間は往々にして醜く見えたりします。全てを厳しくする必要はないし、要は節制という事なのでしょうが、常に自分を客観的に評価して、醜く見えると思うところは是正したいものです。
 お話の細かい設定は突っ込みどころがありますがナ(あ
 こういうラノベは好きです。 興味はあったけど怖くて見る勇気が持てませんでしたが、WOWOWでアカデミー特集の際、放映されていたので録画しておりました。そして昨夜、勇気を振り絞ってみた、と。
 確かに、ナタリー・ポートマンの力量でこの映画は完成された、という感じ。自分が勝たなくてはならないのは自分、という事で、最後まで気が抜けないし、最後までラスボスというか『敵』が解らなくてドキドキしっぱなしで、うひー。下手なホラーものよりよっぽど怖いよ、コレ。
 ラストはどのように解釈するかによりますが、まぁハッピーエンドかなぁ?彼女は完成されたのですから。
 はぁ。精神力の必要な映画でした。